どんなときだって「自由」はある
(前略)
古代ギリシャの哲学者デモクリトスは、物質の重要性を説いた。プラトンは、世界の基盤を精神、魂であると強調した。しかし、人間の幸せのカタチは、物と心の中間にあるような気がする。手に入りにくい貴重な物や経験のなかに幸せがあるのではなく、さりとて心のなかだけにさっと鮮やかに幸せは描けるのでもなく、日常生活のささやかな営みのなかに、幸せのカタチは存在するような気がしてならない。
(後略)
人に支えられてぼくらは生きている。
(前略)
家族っていいなあと思いました。世の中が豊かに、便利になればなるほど、家族の絆が弱まってしまいました。不思議ですね。人間って貧しいとき、苦しいとき、絆をより深める習性があるのかもしれません。おもしろいです。
(後略)
いくつになっても学ぶことはできる。
(前略)
今、日本の医療は、病気に対して、細胞や臓器からアプローチするのがスタンダードになっています。そんな風潮のなかで、僕ら諏訪中央病院看護専門学校卒業生は、患者を、病気を持った、丸ごとの人間として全人的なかかわりをし、その人が生活する家族や地域にまで、思いを注げる看護して欲しいと思います。
(後略)
延命治療を受け入れるか
(前略)
母に愛されてきた思い出が奔流する。涙がボロボロと落ちてくる。自分の人生のなかで、人前で泣くのはこれが初めてだった。
目の前にいる、いま息をひきとった人が、自分の本当の母親ではないと思ったとき、どんなふうに感謝していいのかわからなくなっていた。涙が炸裂した。号泣になった。
(中略)
母は行き場のないぼくを拾ってくれ、自分の病気と闘いながら、ぼくを自分の子として育ててくれた。小さい頃、入院している母のベッドにもぐり込むと、母はいつも力いっぱい抱きしめてくれた。うれしかった。
無条件に母はいつも抱きしめてくれた。
(中略)
母にはもう少し生きててもらいたかった。恩返しをしてあげたかった。
(中略)
もう少し生きてて欲しかった。ぼくは母の前で泣き続けていた。
